kensaku

2014年5月26日月曜日

痔の専門医の見つけ方

痔は専門医にかからないと、とんでもないことになる可能性については先に書いた。
http://akbsc.blogspot.jp/2014/05/blog-post_4040.html
では、どうやって専門医を探したらよいだろうか。

最近では、日本で唯一肛門病を扱う学会『日本大腸肛門病学会』の専門医を掲げ『痔の専門医』であることを明確にする医師も多い。

日本大腸肛門病学会の専門医制度は、国民の皆さんに安心してかかれる大腸疾患や痔の専門医を紹介するためにこの制度を作った(はずである)。
一定の診療経験を納めた書類に書いて提出し、さらに学会発表や医学論文の有無なども評価に入れて、そのうえ試験を受けて合格したものだけが専門医の資格がいただける。
さらに修練を積むと、指導医となって後進の指導に当たれる資格もいただける。
これらの、専門医・指導医の資格は永久資格ではなく、5年に一度の更新手続きがいるから、その間も、診療経験、学会活動など、さぼっていると資格を失ってしまう。

では、日本大腸肛門病学会のホームページに掲載されている専門医であれば、痔の専門医と言えるであろうか?
http://www.coloproctology.gr.jp/doctor/

答えはNoooooo!!!である。
実はこの専門医制度には大きな欠陥がある。
大腸肛門病の学会だから、大腸がんを専門にしている医師、潰瘍性大腸炎の内科治療を専門に行っている医師も大勢いるので、試験の内容(診療経験の有無)も
大腸外科、肛門科、内科その他
の三本立てで、専門医であっても痔の手術は一回もやったことの無い『日本大腸肛門病学会専門医』もいるのである。
流石に、痔の手術の経験がない内科の医者が手術を行う事は無いだろうが、肛門科を標榜して診察と薬の治療だけ行って、手術が必要と判断したら痔の専門医に紹介するというスタイルで流行っている医療機関もあるのは事実なのだ。

確かに手術は行わないから、大した問題は生じないと思えるかもしれないが、一回も手術を経験したことの無い医者が、『痔の専門医』として手術適応を正確に決めることができるのだろうか?
安易に手術を勧められて、必要のない手術を受けて後遺症に悩む患者さんがいるのではないか?

以前、この問題を学会の評議員の集まりで発言したことがある。
その時は、
「一般外科の医者で痔の診療を行っている人が『痔の診療はできない』と思われては困る」
という理由で議論にもさせてもらえなかった。

確かに、癌などの大きな外科の手術を引退し、痔の手術で生計をたてている医者にとっては死活問題であろう。
それだったら制度自体を改正し、大腸外科、肛門科、内科その他、の三本立てにして、複数取得が可能な制度にすれば、丸く収まるのではないだろうか。

専門医制度は『医者の利益のためだけでなく、患者さんの利益のため』にあってほしいと願っている。
安心して痔の専門医を見つけられる時代が来るだろうか?

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