kensaku

2014年5月26日月曜日

痔の治療

痔の治療は、いったいどこの病院で行われているのだろう。
看板に『肛門科』と書かれていたら、痔の治療を安心して任せられるのだろうか?

答えはNo.
日本の医療では、自由標榜性といって『医師免許を持っていれば、どんな診療科を標榜してもよい』
という、摩訶不思議な制度がある。
ちなみに、赤ちゃんを一回も取り上げたことの無い私が『産婦人科』という看板を出して開業することも制度的には可能である。
おそらく、医師が圧倒的に不足していた時代「とにかく、何かの医者でも医者に見せたい」という国民の要望から作られた制度が、その後、既得権の問題もあり改正されないのではないかと思う。

それだから、『ついでに痔の患者さんも診ておこう』という安易な考えで、専門外の肛門科を標榜して痔の治療をしている医療機関も多く、肛門の診察をしないで座薬だけ出して、それを持って『痔の治療」としている医師もいるのはゆゆしきことである。

私の経験でも、排便時に肛門痛みがあるということで、おそらく内科医が標榜した『肛門科』で半年間痔の治療を受けた患者さんが「全く良くならないどころか日増しに痛くなる」という事でやってきたことがある。

どのような痔の治療を受けていたか尋ねたところ、肛門に指も入れないで座薬だけ処方されていたとのこと。
私が、人差し指一本入れただけで、肛門癌であることがわかった。
ちゃんと肛門指診という、肛門科診療の基本診察を行えば、このような間違った痔の治療で一刻も手術が必要な肛門癌の患者さんの貴重な時間を奪う事はなかったと思う。

痔の治療を行うなら、肛門の専門家にかかるべきである。
せっかく、日本の保険医療を使って痔の治療を受けるなら、専門医も『なんちゃって肛門科』も、同じ診察料であるメリットを使わない手はない。

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